【長編】雨とチョコレート
教室――3年4組の前につくと黒板に席順名簿が貼ってあった。

「しのー!あんたの席ここだよー」
「おはよ、あきちゃん」


今、しのに”あきちゃん”と呼ばれたのは岬秋絵(みさき・あきえ)。

天才神崎の秀才な恋人だ。


「あきー、来んのはええよー」

「だって楽しみだったんだもん、新しいクラス。
しのと違うクラスだったら、チェックに行かなきゃだし?」

「俺とはどうなんだよー」

「やだなぁ。かんちゃんは特別だよ。しのの次だけど」

「相変わらず、おまえの扱いひでーのな・・・」


岬はいつだって1番にしののことを考えてくれる人間だから、男女で一緒にいられないときはすごく頼りにしてる。

姐御肌だから慕ってるやつも多くて、しかも気兼ねなく話せることで隠れファンも多い。



「あ、ちなみに真山君はあたしの前の席で、かんちゃんはしのの2個前だよ」


指を指して俺たちの席も教えてくれる岬の姐御肌健在だ。


俺たちはクラスに続々と集まる今年1年のクラスメイトたちと一緒になって、春休みになにしたとか、どこ行ったとか、そんな他愛もない話をした。



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