エピソード オブ マイラブ

 火曜日の5時間目は好き。
 この時間までの時間も,終わってからも桜くんと廊下ですれ違う・・・幸せなんだ。
 今日もあたしの来た方向に行く桜くんを見つめる。

「桜くん・・・気づくかな。」
「さ~あ?もしかして,この間の人だってあたしの方見るかもね。」
「サ・イ・ア・ク。」

 桜くん,こっち見てよ。
 ずっと見てるんだよ。喋れなくてもいいから,見てほしい。

 あ!

 桜くんと目が合った。このとき,桜くんもあたしのこと見てくれてたんだって思える。
 優しくて儚くて綺麗な瞳。いつもこの瞳に吸い込まれそうになる。
 だけど・・・
この時間はあまりにも短くて。

「さくら,いつまで見てんの?早く行かなきゃ。」

隣であみなが小声で言った。分かってる,分かってるけど見たいんだから仕方ないよ。

「うん・・・」


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