好きな人は、
無言で階段を上り続け、彼の足が止まったのは最上階だった。
わたし達の前には、屋上の入り口のドア。
ここ、屋上に繋がってたのか。
ちょっぴり感動し、ずいっと図々しく彼の横から手を伸ばして、ガチャガチャとドアノブを回してみる。
しかし、カギが閉まっていて開かない。
んーっと引っ張ってみても、開かない。
ぐーっと押してみても、開かない。
横に引いてみても、もちろん開かない。
彼の方に視線を戻すと、しらーっと冷めた目付きで私を見ていた。
うわ、なんか恥ずかしい。
「…どいて。」
本日三度目の、『どいて』。
な、なんかわたし邪魔者みたいだなあ。イヤだなあ、人権ムシ反対です。
手でしっしっと退けられ、代わりにドアの前に立ちはだかった彼は、パーカーのポケットから鍵を取り出しドアノブに挿した。
ガチャリ、と音がし、いとも簡単にドアが開く。
「すごーい!なんでカギ持ってるの?」
「…さぁ…………」
ほぼシカトの反応をして、彼はドアの向こうに足を踏み入れる。
わたしも人生初の屋上に、足を踏み入れた。