誠-変わらぬ想いの果て-
それを見ていた奏はペロリと唇を舐めた。
「さぁて。バカ副長はどこへ雲隠れしやがったか」
「奏様、口が悪いですよ。 たとえどうしようもなくバカで、救いようがない程バカだったとしても、一応は上司。 敬えとは申しませんが、せめてバカは外して下さい」
爺が嗜(タシナ)めるフリをして、ここぞとばかりにバカを連呼した。
無表情に淡々と口にする言葉に、一切の土方に対する同情は見受けられない。
いや、むしろ―――。
「あはは。 何気に一番トシのことをけなしているな」
「うふふ、そうですね。
――まだ仲悪かったのか」
奏は天を仰いだ。
珠樹も相変わらずのようだが、多少…態度も軟化してきている……はず。
当初の殺気だったものに比べれば今のなど、口喧嘩ですんでいる……と思いたい。
結局の所、爺と珠樹の状態は全く改善は見られていなかった。