誠-変わらぬ想いの果て-
「奏、副長はおそらく函館だ」
「函館ぇ?何でそんな所行ってんの?」
斎藤が会話を軌道修正し、本来あるべき位置に落ち着かせた。
奏は怪訝そうに眉をひそめた。
「帰ってこられないんだよ。
馬鹿だよねぇ…自分から行ったくせに」
沖田は思う所があるのか、目を細めた。
近藤も悲しげに目を伏せた。
山崎が少し不思議そうに尋ねてくる。
「奏、俺達の…その後を聞いてないのか?」
「うん。 まぁ、それは後からでいいやと思って。 ま、仕方ない。 迎えに行こう」
桜花、今度は土方さんも一緒に来るよ。
桜花の墓に手をあわせると、背を向けた。
元老院の者だけに許される門を開けるためだ。
これである程度の場所へは行ける。
「じゃあ、私についてきて下さい」
『おう!!』
みんなが門をくぐり終えると、静かに門は閉じていった。
桜花の墓の側に生えている花が、見送るかのように風で揺れていた。