誠-変わらぬ想いの果て-
「あづさ、駄目っ!!」
手を引っ張り、こちら側に引き戻す。
それと同時に桜の木から根がうねりをつけて何本も襲いかかってきた。
あと数秒遅かったら、根に捕まっていただろう。
「…な、何……これ…」
「…………ちっ。あづさ」
「え?」
あづさが桜から目を離し、奏の方を向くと、奏の手が目をすうっと覆った。
フッと力が抜け、身体が崩折れるのを奏が抱き留めた。
「鷹」
「……狂い咲きの桜か」
「あれ?鍛練中じゃ?」
そこに現れたのは鷹ではなく、斎藤と紫翠だった。
どういう組み合わせだ。
珍しい。
「手が空いていたからな。鷹とやらは今、土方と稽古中だ」
「……桜?」
「そう。しかも綺麗なだけの桜じゃないわよ」
襲いかかるという不要なオプション付きだ。
この様子では、もうすでに何人か犠牲になっているかもしれない。
こんな危ないヤツを野放しにしておいたなんて……。
珍しく元老院の失態だ。
レオン様の情報網にすらひっかからないとは。