金髪王子2
だけど、私の気持ちとは正反対に、村上先輩はさらに私の方に顔を寄せてくる。
「そのあとは、通称D号棟って言うんだけど、文学部のゼミ室が入ってる棟も案内してあげるね」
「はぁ……」
先輩の顔をよけるように体を引いて、愛想笑いを浮かべる私。
一方、先輩は、なんだか意味深に微笑んでいる。
ゼミ室って、なにか特別な教室なの?
ゼミって、少人数で専門的な議論をしたりする授業のことだよね?
べつに、そんな特別な仕掛けのある教室でもないと思うんだけど。
あ、そういえば……。