金髪王子2

「前に、私、森さんに、司書に向いてるって言われたじゃないですか?」


「うん、覚えてるわ」


森さんは私を見て、うなずいた。


「そう言われて、私、司書になりたいって思うようになったんですけど、担任の先生に聞いたら、司書は、縁故がないと就職が難しいって言われたんです」


森さんは黙ってうなずいている。


「森さんも、ここには前任者からの紹介で来てもらってるはずだって教えられたんですけど。
司書になるのって、縁故がないとやっぱり難しいんですか?」


「そうねぇ……」


森さんは、真剣な表情で言葉を探している様子。


私は、じっと、森さんが口を開くのを待った。

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