甘く、優しく、ときには苦く

正体がわかって私は飛び起きた。


よりによって、藤岡先生に面倒をかけてしまうなんて・・・

しかも、私がここにいるってことは
きっとこの部屋に、彼が入ったってこと。




・・・もっと綺麗にしておくんだった;

机の上に無造作に置かれた雑誌を眺めながら一人ため息をつく。





とりあえず、今日もし会えたら
お礼を言おう。

でも、言えるかな?


今になって、昨日告白したことがとてつもなくはずかしく思えてきた。

告うつもりなんて、なかったのに。


藤岡先生、どう思ってるんだろう?

彼のことだから、断ろうにもいい言葉が見当たらなくて困ってるはず。


だから告いたくなかったの。
困らせたくないから。




無意識にでた、本日2度目のため息。

起きてたった10分で2回もため息なんて・・・・
私、すごく不幸な人みたいじゃない。




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