アダルトチルドレン
父親の死
当たり前のように、仕事に向かって仕事をしていると、柿崎というボーイに呼ばれた…

他に客が来ている様子もないので、なんだろうと思うと、「お母さんから電話です…」
と言われ、

「えっ…」と思いながら、電話を受けとると、母親が焦った声と怒りの混じった声で、「パパの命が危ないから○○病院に来て…」 と言われた…

一瞬頭が真っ白になり、どこかフワフワした気持ちで、いやらしい空間に居る自分と自分のドレス姿が何をしているんだろうと恥ずかしく、情けなく、そんな事を考えながら、柿崎に事情を話し病院へ向かった…


向かってる間もフワフワした気持ちと何故か、実の父親の危篤状態なのに怒りがあった…

毎回、毎回子供の頃から、生きるか死ぬかの瀬戸際にたつ父親をどこか憎しんでいた…

父親のせいで、全て家庭が振り回されている気がして…

はたからみたら、親不幸な娘だが本心はそうだった…

そんな事を考えながら病院に到着して、母親に言われた言葉は、
「自分の父親が死ぬか生きるかの時に何してるんだ…」

と怒鳴られた…

母も疲れていた…、夜は居酒屋で働き昼間は家事や父親の病院への行き来…

自由なんてなかった…

母親に返す言葉は杏里には見当たらなかった…

言われて仕方ない事だし、母親の苦労を一番身近で見ていたのも杏里だったからだ…

杏里には三歳違いの弟も居て、弟は病院の椅子で泣きべそをかいていた…

何も出来ない自分が情けない…

母親も弟も可哀想で仕方なかった…

父親は危篤の状態が続き、看護師には、
「明日、どうなるかはわからない…」
と言われ、私たちは一旦家に帰宅するしかなかった…


頭の中の色々な不安で眠れぬ夜だった…







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