アダルトチルドレン
翌朝、病院から電話が来て、父親は一命をとりとめた…


そのまま、そこの病院に入院となった…

入院といっても、いつ何があるかわからない状況の患者だ…

普通の病室には入れない…
入院はいつも個室だった。1日何万か、かかる病室に入院していた。

心配だろうが、母親は働くしか出来なかった…

家のローンも月18万、病院費だって馬鹿にならない額だ…

どう考えたって、足りない…

けれど、母親は私からお金を受けとる事はなかった…

必死だった…父親の母、杏里からするとお祖母ちゃんにお金を借りながら、なんとかしのぎやってきた…

だけど、そんなのいつまでも続くはずがない…

それから2ヶ月くらいして父親は体調が少し安定し本人も家に帰りたい願望が強く1度家に帰宅した…

けれど、家で普通に過ごせる状態の人ではない…

毎晩、暗い家の中に、
「痛てー」 という父親の痛む声が響いた…

病院からは、もう痛みをとるにはモルヒネくらいしかないと言われていた…

けれで、1度それに頼ったら逆にそれが手放せなくモルヒネ無しでは無理な薬中毒になるとも医者に言われ、父親の意志で薬は使わなかった…


毎日、毎日痛みの声が聞こえてきて、怖くて、恐ろしくて家に帰りたくなかった…

疲れて帰ってくる母親が父親の体を擦っていたり、明日学校の早い弟が眠い目を擦りながら擦っていた。


そんな毎日の中、杏里は見てみぬ振りをした…

憎しみとこんな生活から逃げたい気持ちでいっぱいだった…

家族一丸にならなきゃいけない時にあたしはノウノウと仕事に集中していた…

あの時は父親のせいで…って気持ちしか杏里にはなかったからだ…

残酷だよね…

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