キミを想う。



「いつも送ってくれてありがとう」


家に着き玄関でお礼を述べる。



「良かったの?あいつ…郁斗と加穂のこと二人にして」


「あー…うん。加穂さんと瀬野くんと、瀬野くんのお兄さんの問題だもん。私は部外者だよ?」 


困ったように笑いを浮かべる。



「でも郁斗の片想いで、加穂と付き合ってるのは拓斗くんで、あんたは好きに出来るだろ?」


「うーん…。加穂さん、拓斗さんのこと大好きだって。好きなのを止めるなんて無理だって言ってた。それと同じぐらい瀬野くんも加穂さんのこと好きなんだって見てて分かるから…」


今日、絶対に気まずく思ってる加穂さんの気持ちに気付いてて、デートに誘って、二人で映画を観たんだもん。


ただ“好き”って気持ちだけで、私は瀬野くんに気持ちを簡単に伝えることが出来ない。


今まで関わることのなかった人と友達になれた、それだけでも私には意味のあることだと思うから。



「ふーん…。じゃあ郁斗が加穂以外のやつと付き合ってもいいの?」


「えっ!!彼女出来たんですか?!」


知らなかった…。


ショックを受けている私にユキくんは呆れたように溜息をついた。






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