レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
首を傾げたあたしの頬に、しょーごさんの長い指が当てられる。
一瞬だけど、伝わる熱。
しょーごさんがつまんだのは、朝ごはんがわりにさっき食べたビスケットの欠片だった。
「わー!恥ずかし! すみませんっ」
あたふたするあたしに構うことなく、しょーごさんはそっと指先を口に含んだ。
――考えもしなかったその仕草に、頬が熱くなる。
「な…っ」
「しょーごさん!お願いします!」
「はいはーい」
しょーごさんはスタッフさんたちに向かって返事をすると、ちらっとあたしを見た。
「…顔、真っ赤」
おかしそうに笑って、軽く舌なんか見せちゃって。
そして去っていく。
さりげない仕草のひとつひとつが、色気がある。
それをきっと、自分でよくわかってる。
「…心臓、もたないわ」
ぐしゃり。
あたしは空き缶を握り潰した。