レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
久しぶりに聞いたママの声は、キンキンと耳を貫いた。
…あたしが声大きいのは、ママゆずりだなぁと思う。
『あんた、今いったいどこで何してるの!??』
「…ちょ、ちょっとそれは企業秘密で言えなくて…」
あたしはよっこいしょと頭の位置をずらして、寝転がったまま月を眺めた。
まさかママは、あたしがあのlabylinthのもとで働いてるなんて夢にも思ってないだろう。
『なにが企業秘密よ!変なところで働かされてないでしょうね』
「大丈夫!…まぁ、変なところっちゃ変なところだけど…」
『全く。オーディション100回落ちたらちゃんと真面目に勉強するって約束したのに』
勉強する意思はあったけど、思いのほかこの仕事が忙しい。
ごめんね、と思いつつも、「ちゃんと仕事を見つけたからだよ」と答えた。
「でも安心して。今がちょっと忙しいだけなの。まだ力試しの段階だから。認めてもらうために、忙しいだけなの」
『…』
「これが終わったら、ちゃんと勉強に戻るから」
約束する。
しっかりと、意志を込めてそう言うと、黙って電話が切れた。
…たぶんまだちょっと怒ってるけど、認めてくれてるような気がする。
携帯を床に置いて、う~んと伸びをした。