レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
ワタルが、そう聞いた。
あたしも興味が沸いて、隣のしょーごさんを見る。
一方しょーごさんは腕組みして、ケイくんと顔を見合わせた。
「…ガラリと、毎日が変わったよ」
ケイくんが苦笑いしながら言ったひとことに、重みを感じる。
しょーごさんもふっと笑って、「そうだな」と言った。
手のひらを掲げ、長い指をゆっくりと折っていく。
あ、爪が短い。
少し傷も見える。
――ギターをずっと弾いている指だ、なんて思った。
「まず、電車は乗れなくなっただろ。食べる店も選ばなきゃだし、たまに学校行っても常に追っかけだ。勉強どころじゃない。
買い物も遊びも、変装してても結構バレるんだよこれが。あ、でも遊ぶ時間も相手もないから、これはそんなに意味はない。
学校の友達とかできないな。交遊関係は芸能界でしか持てないし、あんまり気も緩められなくなった。学校の行事にも参加できないんだからしょうがない」
淡々と語るしょーごさんにつられて、ワタルのテンションがだんだんと落ちていく。