レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
しょーごさんがマイクに向かって、くい、と顔を上げた。
目が合ってどきっとする。
…別にあたしに目を合わせたわけじゃないだろうけど。
それでも、あの挑戦的な眼差しに見つめられるだけで、全国の女の子はどきっとしちゃうものだ。
――ずっと気付いてたんだ
もう運命は始まってるということ…
しょーごさんの美声が、アリーナに響き渡る。
なんて心地いい響き。
音が喜んで、この広い空間の中を走り回っている。そんな感じ。
それでも客席にはあたしと彩花さん、その他数人のスタッフしかいなくて、なんだかすごく特別な気持ちになる。
…ずっと、大画面でしか見ることができなかった。
それが今、あたしの目の前で、輝いている。
温度を感じることができる。
ケイくんは、ずっと穏やかな表情で、滑らかなキーボードを奏でてみんなの音を支える。
ワタルのドラムは躍動感があって、それでいて音楽を着実に前へと進める。
アキトのベースはたまに癖があるけれど、それですら魅力となる不思議な美しさを持っている。ハモる声も、しょーごさんとは違って、それがまたいい。
――しょーごさんは…
…しょーごさんは。
「…っ」
なんだか見ているだけで、体中の温度が上がってしまう。