レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
おおっとお、と彩花さんがのけぞった。
あたしの寝泊まりさせてもらってる部屋の隣の部屋から、ちょうど林田さんが出てきたところだった。
こちらも、寝起きらしい。
「あらやだ、若社長おはようございます」
彩花さんは慌てて営業スマイルに切り替えて、くすくすと笑うケイくんの足を踏んだ。
あたしも笑いを噛み殺す。
「まぁ、社長なんて基本的には批判されるものだからな。まったく気にしてないよ彩花くん」
批判された社長はにっこりとした笑顔だけど、これがまた怖い。
…というか、気持ち悪い。
「うふふふ。さてわたくしはしょーご殿をお迎えに行ってきます。大事な大事な打ち合わせですものね今日は」
「ああ。三大ビッグニュースのうちの一つだからな。命よりも大事だ。
でも、それを達成するには」
ふいに、林田さんが顔の向きを彩花さんからあたしへと変えた。
きっと睨みつけて、つかつかと歩み寄ってくる。
――次の瞬間、体がふわっと宙に浮いていた。
「きゃあああああああ」
あたしの断末魔の叫びに、彩花さんとケイくんが耳を抑える。
襟首を掴まれて持ち上げられたあたしは、更に揺さぶられた。
「いやああああ~助けてください!!」
「ベースはどこだ!それがいないと始まんねぇんだよチアこの野郎!急げい」
「きゃあああ」
白目を剥きそうになる。