レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
…とはいったもの。
秋風が涼しい朝から、繁華街に散らばっているストリートミュージシャンたち。
通勤ラッシュの人ごみの中をかき分けて、めぼしい人を見つけるのは難しい。
「ちょっと、すいません…」
比較的若い女の子たちが輪を作っているところに強引に割り込んでいく。
気持ちよさそうに歌っている男の子たちのグループ。顔もいいし歌も悪くない。
ベースに目をやるけど、可もなく不可もなくといった感じ。
…でも、それじゃダメなんだよなぁ。
頭の中のレポートにバツ印を付ける。
可もなく不可もなく、じゃだめ。
悪くない、じゃだめ。
もっと言えば、かっこいい人なんていくらでもいる。
”オーラ”が見えないとだめなんだ。
宝石の原石だって証明するような、あのオーラ。
「…って、あたしが言うなって話なんだけどね」
苦笑いしながらそっと輪から外れる。
バンドメンバーを探すという、この作業を続ければ続けるほど、自分を見ているような気分になって胸が痛い。
彼らの精一杯な横顔に目を向ける。
――みんな、待っているんだ。
いつか輝ける日が来るって信じて。
その気持ちがわかるだけに胸が苦しい。
「探される側」から、「探す側」になると、自分に足りないものが次々と見えてきて。