レジェンドは夢のあとに【8/18完結】

この仕事をあたしに任せるなんて、つくづく林田さんって意地が悪いというかなんというか。


…でも、そんなこと思ってる場合じゃない。

気持ちを切り替えて、他のミュージシャンを探さなきゃ。




歌声が聞こえたほうに向かってみては、ベースを確認していった。
なかにはベースがなくて、ギターとヴォーカルだけや、ヴォーカルとキーボードだけといった組み合わせも多い。

ベースは、ある意味では、わかりやすい。
もともとギターほど目立つわけではないぶん、真のベーシストが醸し出すオーラは断然違うから。


ただ、当の”真のベーシスト”が見当たらない。

仕方なく繁華街をあとにした。



「えっと…」


なけなしの貯金をはたいたスマートフォンで、マップを調べる。
このあたりで他に人が集まりそうなところをいくつか回るしかない。



林田さんから渡されたファイルには、有力候補者たちが連なっていた。
どの人たちも、さっき繁華街にいた人たちよりははるかに実力が上だった。ように思う。




――それでも。

しょーごさんの歌声、ギター。
ケイくんのキーボード。
ワタルのドラム。


それらを組み合わせた時のハーモニーを更に引き立てられるようなベーシスト。


まだ、真の音に出会ってないような気がする。






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