レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
拍子抜けしたあたしに、林田さんは歩道橋の下に停めてあるバンを示した。
「行くぞ。こいつに、俺たちがこれ以上やれることはもうない」
「でも…」
「こいつが決めることだ。まだ高校生だろ、強引には誘えない。親御さんの許可もいるし」
スタスタと歩き出した林田さんを追おうか、一瞬迷う。
三人に目を遣った。
ヴォーカルは、無言で俯いている。
赤髪ギタリストは指先でピックを触りながらも、何も言わない。
ただ…
ベースだけが、こっちを見ていて。
目が合った。
でも何も言えなくて、仕方なくあたしも背を向けた。
――壊してしまったんだ。どっちにせよ。
罪悪感を抱きながら、歩道橋の階段を降りていく。
林田さんにもう少しで追い付きそうで、足を早めようとしたとき、
「待てよ」
低い声に、呼び止められた。
振り向くと、ベースを抱えたままのアキトが佇んでいた。
「俺も乗せていけ」
静かな口調で、そう言いながら階段を降りてくる。