夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]
「どうしたの?」

一本の草を見つめる自分に千尋さんが尋ねてきた。

「いやさ…終わったんだな…って。もうじき何もない冬だ…。」

「そんな事、ないよ…。次の春までジッと耐える命も力強いよ。」

千尋さんが見つめてきた。

そうして、静かに言った。

「教えてくれたの…隆哉君だよ。」

と。

えっ!?…そういえば…。

「そっか…、ここで千尋さんと話したの…中3の夏が最後じゃないんだ…。」

自分の呟きに、千尋さんは頷いてから、

「やっと…思い出してくれた?」

と、微笑んだ。
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