嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-
私は再度、契約書に目を通した。
やはり、
解らない漢字ばかりで
目を瞑りたくなるが、
文中に
“200000”という数字が目に飛び込んだ。
200000円。
これって私の値段なのだろうか?
この値段で、売られたってこと??
緒川さんのメガネの奥が光ったのは、
私を商品として見たからだ。
手に力が入り、
書類がクシャクシャとなって行く。
うつむいた私の目から、
熱いものが込み上げた。
うちは貧しい。
そんなこと分かっている。
でも、どうして私を売ったの?
どうしてそんなことが出来ちゃうの??
お母さんが居たら、
こんなことにならなかったのかな……。