嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-

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「……はぁぁ」



ため息を漏らしながら、

いつもの通学路を歩く。



「葵!!おはよう!!」



「あ、おはよう」



後ろから声をかけてきたのは、
柴田紗希。



紗希とは、
一年生の時から同じクラスで
一番の仲が良い友達だ。


モノマネが得意で、
クラスの人気者だった。



「どうしたの?元気ないよ!

朝から暗い顔しない!」



笑顔の紗希と話していると、
少しだけ元気が出て来た。


紗希はうちの事情をよく知っている。


お母さんがいないこと、

お父さんが
転職を繰り返していること、

そして私が家事をやっていること。


……だけど、

借金の代わりに
裸になるとは、

やはり言えなかった。



教室に入ると、
いつもの光景が目に入る。



噂話やイケメンが大好きな女子。


プロレスごっこをしている元気な男子。



どこにでもある中学校に私は通っている。



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