Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
ハリー「え゛!?」

即座に言葉は返ってきたが、ハリーは困惑した。

ハリー〔ク、クサいって何がだ!?台詞か!?それとも体臭か!?体臭なのか!!?〕

サラ「ウソ」

サラの唇が頬に触れる。
数秒、二人は見つめ合い、やがてサラは前へと振り返った。ハリーの手だけは、離さずに。
しかしこれでは疑問が残ってしまう。

何故ハリーはサラを助けたのか?

ハリーのお人好しという性格を思えば考えるまでもないが、わざわざ同居させることはない。

サラ〔もしかして、ハリーってばロリコンかも!?〕

ハリー「うん?どうした?」

サラ「う、ううん。何でもないの」

くだらない考えを即座に頭から追い出す。せっかくの甘い一時をこんな陳腐なことで台なしにしたくなかった。
ハリーの指がサラの髪を撫でる。
サラの手がハリーの手に触れている。

外は春風が静かに吹いている。

サラ・フィーラスの、十二歳となった、穏やかな夜だった。
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