Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
そういえば、最近気になっていることがある。

この四年間、ハリーと一緒にいると、妙にドキがムネムネ……もとい、胸がドキドキするようなことが多々あった。
この胸の高まりは何だろうとあれこれ思案していると、ふと昔、母親のモリーが言っていたことを思い出した。

モリー「ママもね、昔初恋というものを体験したの。
あの時は夜も眠れなかった。相手のことを考えると、胸がとってもドキドキして熱くなるの。相手のことを想うだけで幸せになるわ」

サラ「胸がドキドキして、熱くなって、幸せなの?何かすごく大変そう……。そんなに大変なら、私初恋なんてしたくないなぁ」

モリー「いいえ、それは無理ね。だってあなたみたいな魅力的な女の子が素敵な出会いをしないはずがないもの」

夢見る乙女にあるまじき発言をする娘にモリーは優しく諭す。

モリー「サラ。あなたにもいずれ素敵な人が現れるわ。その時は、そのドキドキを忘れずにね」



ハリー「サラ?」

サラ「ふえっ!?な、何!?」

ハリーの言葉に現実に引き戻される。

ハリー「大丈夫か?ボーッとして。……ご飯だぞ」

一日の終わり。
夕食はシチューだった。

今日の夕食担当はハリーだ。
材料はジャガ芋や人参を細かく切ってあり、牛乳を混ぜたであろうシチューのルーは、とろりとしてコクがあり、確実にハリーの料理の腕が上がっていることを意味していた。
食べている途中ハリーが、余裕の笑みを浮かべながら話し掛けてきた。

ハリー「フフン。この分なら俺がサラを追い抜く日も近いな。いや、もしかしたらもう追い抜いてるかも」

サラ「ふんだ!まだまだ負けないもんね!」

ムキになるサラが可愛い。
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