Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
───ちなみに、シチューはレトルトであり、威張れるような難しい料理ではない。
それに気付かずつけあがっているハリーとムキになっているサラ。この安い劇はしばらく続いた。
眠る前にサラは、モリーの言葉を再度思い出していた。
そして、自分の胸の内がまだ熱いことを再確認し、夜の暗い部屋の虚空を見つめながら一つの事柄を思い浮かべる。
サラ〔……そっか……私、出会った時からハリーのことが……好きだったんだ……〕
ほのかに頬が朱くなる。だが、不思議と恥ずかしい気持ちにはならず、むしろ堂々と胸を張って自分には好きな人ができたと自慢してもいいくらい清々しい気分だった。
化け物と呼ばれ蔑まれてきた自分に好きな人ができ、気持ちがときめいている。
それが恋だというのに気付くのに、四年という時間は長すぎた。
そう、それは十二歳の、サラ・フィーラスの、初恋だった。
それからというもの、自分の中の正直な気持ちに気付いてしまったサラは、ハリーと目が合ったり、手と手が触れ合ったりしただけでも、不自然にキョドってしまった。
酷い時は、お風呂に一緒に入るかというハリーの他愛もない冗談に、頭の後にムカつきマークが現れたサラは、危うくハリーの左手を吹き飛ばすすんでのところで、ハリーの左手の中の石鹸を吹き飛ばした。
ハリーはそんなサラを心配したが、以前サラからお人好しすぎると言われたことがあるので、サラから言い出すまで黙っていることにした。
しかしサラにとってはそれが墓穴だった。
せめて「どうした?」と言われたらどんなに楽だったか。
言い出したいのに言い出すことができない。
恋の悩みとは時として苦しいものだということをサラは身をもって体験した。
お互い無言で過ごす日々が続いた。
だが、苦しいことばかりではなかった。恋の悩みというのはあくまで悩みであり、普通に付き合うことには問題なかった。
それに気付かずつけあがっているハリーとムキになっているサラ。この安い劇はしばらく続いた。
眠る前にサラは、モリーの言葉を再度思い出していた。
そして、自分の胸の内がまだ熱いことを再確認し、夜の暗い部屋の虚空を見つめながら一つの事柄を思い浮かべる。
サラ〔……そっか……私、出会った時からハリーのことが……好きだったんだ……〕
ほのかに頬が朱くなる。だが、不思議と恥ずかしい気持ちにはならず、むしろ堂々と胸を張って自分には好きな人ができたと自慢してもいいくらい清々しい気分だった。
化け物と呼ばれ蔑まれてきた自分に好きな人ができ、気持ちがときめいている。
それが恋だというのに気付くのに、四年という時間は長すぎた。
そう、それは十二歳の、サラ・フィーラスの、初恋だった。
それからというもの、自分の中の正直な気持ちに気付いてしまったサラは、ハリーと目が合ったり、手と手が触れ合ったりしただけでも、不自然にキョドってしまった。
酷い時は、お風呂に一緒に入るかというハリーの他愛もない冗談に、頭の後にムカつきマークが現れたサラは、危うくハリーの左手を吹き飛ばすすんでのところで、ハリーの左手の中の石鹸を吹き飛ばした。
ハリーはそんなサラを心配したが、以前サラからお人好しすぎると言われたことがあるので、サラから言い出すまで黙っていることにした。
しかしサラにとってはそれが墓穴だった。
せめて「どうした?」と言われたらどんなに楽だったか。
言い出したいのに言い出すことができない。
恋の悩みとは時として苦しいものだということをサラは身をもって体験した。
お互い無言で過ごす日々が続いた。
だが、苦しいことばかりではなかった。恋の悩みというのはあくまで悩みであり、普通に付き合うことには問題なかった。