Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
……知らずサラはアスファルトに膝をつき、顔を両手で覆い隠したまま、消え入りそうな声を出して嘆いていた。

サラ「……どうして…………私が………………こんな目に…………あわなければいけないの………………どうして私は………………こんな呪われた眼を……………………お母さん……………………」

胸が張り裂けんばかりの哀しみが慟哭と化す。

嘆く声は月明りに照らされながら少しずつ哀愁を纏いヴォリームを上げていく。

───違う。

サラ「お母さん、どうして……私を……こんな・……こんな、呪われた身に生んだのですか………………私が、こんな眼のせいで大切な人を何人………………」

…………思い募るおたけびが喉の奥までのぼりつめ、哀しみが絶頂に達する。

ついに全ての思いと哀しみを込め、今までにないくらいの大声で、サラは呪いの言葉を無人のストックトン裏通りを照らす月に向けて解き放つ。

サラ「お母さん!どうして!!私をこんな呪われた身に生んだのですか!!!!!」

……………………………。

全ての呪いを吐き出し、涙が涸れるまで泣いて尚、サラは頭を垂れて、両腕を血が滲むほど握りしめながら、自らを抱きしめるようにして哀しみと憎しみをを込め、小さく呟いた。

サラ「…………………今は、あなたが憎い……私をこんな呪われた身に生んだ、あなたが……憎い」

最後の『憎い』はサラ自身本当にそんな事を言ったのかと思うくらいはかなく、小さい声だった。

だが、残酷にも、通り全体に響き渡った嘆きも夜の闇に呑まれてすぐに消え、またいつもの静寂へと戻っていき、サラの眼も、憎しみが沸き上がったにもかかわらず、効果を発揮しなかった。

───そして、いくら待っても、ハリーが現れることはなかった。

守ると誓った。
なのにこの体たらくは何だというのだ。守るべき彼を守れず、母の仇もとれず、無力感に打ちひしがれ生きていることに何の意味があろう?
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