Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
サラ「いえ、私は……」

二人の男子生徒が身を乗り出して問いかけてくるのに対して、サラは身じろぎしかできず。

「ホントにストリクト先生直々に教えてもらえるの?」

さっきサラを指差した金髪の女子生徒も問いかける。
今サラの周りにいる生徒全員は、本当にサラのことをストリクトが連れてきた成績優秀な飛び級の秀才学生と思い込んでいるようだ。
教室を出る前のストリクトの妙な笑みのワケがここにきてわかったサラだが、時既に遅し、だった。

「それってスゴイことじゃないか!?俺とリックなんか、ストリクト先生の講義すら聞いたことないのに!」

正直に言えば、この時話題を変えてくれたこの男子生徒には感謝してもし足りない。

リック「ああ。いっつもプリント配って、その後で無理難題な課題ばっかり出すだけなのに」

リックと呼ばれた生徒が驚愕を顕わにした声で、隣にいる話題を変えてくれた男子生徒の言葉に付け加える。

「でも、言われた通りにやったら必ず成績が上がるのよね!」

金髪の女子生徒の隣にいた黒人の女子生徒が興奮をまじえた笑顔で会話に入り込む。

「そーなんだよ。それになんてゆーの?逆らえないオーラっつーの?なんか威厳があってさ」

「あ!それある!……でも私、ストリクト先生のそーゆートコ好きだな」

「ふっ……実は俺もなのさ」

「えー。何それー?」

生徒同士で笑いあう。
その場の雰囲気に溶け込めないサラだが、彼らの話を聞いていると、ストリクトは厳しい面があるものの、ここにいる生徒全員が彼女を慕っているのだから、ストリクトの人気はおそらく大学内共通なのだろう。

「さてと、無視しちゃってごめんなさいね。私はナタリー・スペンサー。よろしくね。えぇと……」

サラ「サラ・フィーラスです」

話題をサラに切り替え、金髪のナタリーが友好の証に握手を求めてきた。

「ああ、じゃ俺も自己紹介。俺はピーター・ハンズ。こっちはリック・ジャット」

リック「よろしく」

「私はジェシカ・メリソン。困ったことがあったら何でも聞いて」

照れくさそうにサラはナタリーのそのやわらかい手を握った後、リック、ピーター、ジェシカと握手して、大学生活をスタートさせた。

ピーター「ね、ところでさ、あいつ、あんな所で何やってるんだ?」

見れば、教室の隅っこで一刀両断されたマークが、今も百倍の課題という死の宣告に、床に転がり身をよじりながら苦しみ悶えていた。
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