Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
ハリーが仕事を始めてから数日経った後。幼かったサラとハリーは夜の遊園地へと遊びに来ていた。

全てのアトラクションを見終わって、家路へ急ごうとしていたハリーだが、サラがどうしてもと言うのでつきあった。

たどり着いたのは噴水のある広場だった。
植木と色とりどりのライトに照らし出された広場は幻想的にも見える。

今日最後の噴水を見たくて来たサラだったが、広場には噴水どころか水たまりの一つもない。

今日はもう終わったんだよと言うハリーの言葉に従って広場を出ようとした二人の背後で、ふいに水が弾ける音がした。

振り返ると、ライトアップされた水の層が四重にも五重にも重なって水のパレードを開いている。

サラはうれしさのあまり濡れるのも忘れてハリーが止めるのも無視して噴水の中心へと入っていった。

サラが噴水の中心へと走り去って行ったすぐ後に、すべての噴水口が開いたらしく、サラの姿はついに見えなくなった。

しばらくして、心配でたまらなかったハリーが噴水の周りをうろうろしていると、突然今日の分の噴水が終わり、噴水口へと戻っていく水の後にサラと上空に光る月が目に飛び込んできた。

サラはハリーのもとへ走り寄ってくると両手を差し伸べた。
そこにあるのは、幼い手には余り溢れた少量の月。

サラ『プレゼント』

満面の笑みで両手の月を差し出す少女に、男は愛情に近い笑顔で微笑み返す。



唐突に教室に戻る。
頬には一滴の涙。

ようやくわかった。
ハリーはまだ死んではいない。
こうして、自分の思い出の中に生きている。

たとえ眼で消されようとも、心の中で生きている。

ならば当然母親も、父親も心のどこかで生きている。

───あぁ。
無くならないものもあるんだ。

全ての曲が終わった後、CDを取り出し教室を後にする。

学校からの帰り道、サークルで練習するための曲が見つかったという嬉しさで胸がいっぱいだった。



最初の驚愕は五人分。
その美しい響きに五人全員が言葉を失った。

たった数週間で聞いた事もない日本の歌手の歌をマスターしトレースしたサラがそこにいる。

歌い終わり閉じていた目を開けると五人全員がサラに飛びついてきたのにはさすがにまいった。

ナタリー「すごいよサラ!完璧じゃん!!」

窒息するかと思うくらいナタリーが首に抱きついてくる。
というか、どこにこんな力があるんだろうと疑問になるくらいの締め付けだった。
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