Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
サラ「皆さん……」

感動のあまり涙が溢れる。
施設の責任者である女の人が出てきてサラに話かけた。

「今日は貴女のお別れ会よ。皆さんどうしてもやるんだって聞かなくって……」

サラは高齢者達の方へ向き直り、泣いている顔を隠すように頭を下げ「ありがとうございます」と何度も感謝の意を唱えた。

一通りおさまってくると、高齢者達の隙間からあの女性が見事な花束を両手に持って現れた。

女性は車椅子に乗ったまま自ら進み出て花束をサラに手渡すと満面の笑顔を浮かべた。

「今まで御苦労様でした。そして本当にありがとう。貴女と一緒に過ごした日々、とても楽しかったわ」

女性の言葉は非常にハキハキしていて心から感謝の言葉を贈られているのがわかった。

「あ、そうそう」

思いついたように女性は言葉を付け足す。

「貴女に一番に伝えようと思ってね。貴女とお話した日の後、最後の診察に行ったの。
そしたらね、フフ。何と───」

もったいぶって話す女性の顔は幸福に満ち溢れている。

「何と!ガンが自然になくなっていたの!きれいさっぱり、跡形ないほど!」

耳を疑わずにはいられなかった。

医者にも治せかったガンが、自然に?

跡形もないほど?

有り得ない。

しかしサラにはわずかだが心当たりがあった。

「貴女と話した直後になくなったの。きっと貴女が奇跡を運んできてくれたのね。本当にありがとう!貴女のおかげだわ」

サラの両手をとってブンブンと上下させる女性は満面の笑顔だった。

だが、奇跡では、ない。

それは不確かな事ではあるが、あることをすれば必然的なことだった。

歓喜する女性を前に色んな疑問が頭の中を巡っていて「おめでとう」も言いだせず、ただ小さな作り笑いを出すことしかできなかった。



お別れ会も無事終わり、施設の人達ともお別れを済ませたサラは、一目散にストリクトのもとへ帰り、結果と気になる女性の話をした。

ストリクト「なるほど。興味深いですね。
……ではサラ。学園祭終了後、貴女にはちょっとした検査を受けてもらいます」

サラ「検査?」

詳しく追及しようとしたサラだったが、ストリクトはそれ以上話そうとしなかった。





そして迎えた学園祭。
当日のフランクフルト大学は内も外も豪華な飾り付けと熱気で賑わっていた。

< 76 / 90 >

この作品をシェア

pagetop