Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
サラ「まあそのおかげで今までずっと考えていて、誰の仕業かようやくわかったんですけどね」



社会棟の屋上から遠くを見るサラの目には今、確信をもって黒幕と言える人物がコンテスト会場にいる様子が映っている。





ストリクト「クシュッ!」

ピーター「?ストリクト先生、風邪ですか?」

ストリクト「そうは思いたくありませんが、秋になって冷えてきましたからね……」



空が暗くなりかけている中、今度はナタリーが大声をあげる。

ナタリー「あ゛ーーっ!!!もうこんなに暗くなっちゃってる!サラ、そろそろ準備しなきゃ!!」

サラ「え?あ!すみません!!」

自分のことで精一杯だったサラは、学園祭の締めであるのど自慢のこともすっかり忘れていた。

時間は夜の8時。
空もとっぷりと暗くなった中、フランクフルト大学の敷地内は未だ来客数が衰えることもなく、人々の大半は準備中の会場に集結している。

舞台裏では、先ほど味わった恥辱も忘れて準備に没頭しているサラの姿があった。

準備といっても、サラはこれから歌う歌の歌詞を間違いのないように小さい声で復唱するだけだが。

時刻は8時半。

予報では曇りと言われていた秋の夜空は少しずつ晴れだしていた。

のど自慢大会まであと三十分。

しかしこののど自慢大会はただののど自慢大会とは少し違っていた。

大会と銘打ってあるが、その実競い合うなどではなく、ただ純粋にお客に対して歌唱力をお披露目するというだけのものなのだということを、サラは最近になって知った。

だがそれでも大勢の前で歌うということに変わりはなく、重苦しいプレッシャーがサラの胸を少しずつ締め付けていった。

しかも今年はただでさえ外来から来たお客が多い上に歌うのは先程のミスコン優勝者。
おまけにサラ達カラオケサークルが歌うのは一番最後。
気楽にいけというのが無理な話だった。

ついに九時になり参加者達が次々と歌を終えていく。

そしてついにサラ達の出番となった。

舞台裏から表舞台へと出て行く。

途端、歓声に次ぐ歓声。

ミスコンの優勝者が歌うというだけで、観客達は実はこれまでの歌をほとんど聞き流していた。

耳障りなほどやかましい歓声がサラの神経を逆撫でする。

サークルメンバーが全員定位置に着いた。

ステージの端にいたサラが中央に設置されているスタンドマイクの所まで静々と歩いていく。
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