Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~
憎しみは何も生み出さない
だから何も愛せない
わかりきっていたはずなのにね

大切なもの 瞳に映るもの
その全てを守り抜く
今キラキラと私に降り注ぐ 月光の雨
ただ君に逢いたくて





深い余韻が残り、サラが歌い終わった後、ようやくステージの照明が点いた。

まず衝撃を受けたのはサラだった。
歌い終わると同時に目を閉じていたサラが目を開けると……。

そこには、呆然とした観客達。
皆ステージにいるサラを見つめている。

どうしよう。

そんなに下手だったのだろうか?私の歌は。

サラががっくりと落胆しかけた時だった。

ワッ と沸く拍手の嵐、嵐、嵐。

観客達は失望など微塵もしていなかった。
ただあまりに衝撃的だったライブに感動してどうすればよいかわからなかっただけだった。

歌が続いている間は呼吸をすることも忘れていたし、月光がステージを照らした時なんかはもう窒息寸前だった観客もいる。

しかも突然のハプニングにも関わらず、見事なアドリブ。

かつてない豪華なステージに、賞賛をおくらない観客はいなかった。

とめどなく沸きあがる興奮と熱気の中、サラはようやく自分の成果を理解し、観客の評価に歓喜した。

この歓声こそが、サラ・フィーラスという人間が確かにそこにいるという証だった。

ジェシカ達にわき腹をどつかれて、観客へのアピールなど、手を振ってエールに応えるカラオケサークルの”六人”だった。

学園祭も終わり、次々に帰省するお客達は、まだ興奮を抑え切れないようで、あちこちで「来年も来よう」という声もあがっていた。


ストリクト「大成功でしたね。素晴らしかったですよ。サラ」

サラ「ありがとうございます!ストリクト先生」

マーク達と一緒にはしゃぐサラを見て、滅多に見せないストリクトが笑顔をこぼしていることさえ、誰も気付くことはない。

こうして夜は更けていく。
サラにとって、今日は実に充実した一日だっ───。



「「「「「「カンパーーーーーーーイ!!!!!!!」」」」」」

───打ち鳴らされるジョッキ。

んでそのスンバらしい夜が更けないうちに打ち上げである。

サラは慣れない緊張の糸がここにきて切れてしまったので、もう大変な疲労であった。
ジョッキを片手に机に真っ赤になった顔の側面だけ押し付け、飲みすぎて気持ち悪くなり、目を回すというアイドルに相応しくないなんとも無様な有様。
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