xxxFORTUNE
ちょっと恥ずかしくなって笑うと、佐久間さんの手が離れてく。
かと思えば、今度はぎゅっと抱きしめられた。
「ぼくね、どんなにヒドいことされても、全部自分が悪いからだと思ってたんだ」
佐久間さんの肩に額が当たって、真っ暗になる視界。
「みんなね、ぼくは悪くないって言ったけど、そう思えなかったの」
それは、きっとあなたが優しいからよ。
言葉で返事をする代わりに、ぎゅっと抱きしめ返す。
「ぼくは、お母さんもお父さんも大好きだから」
「えぇ、そうね」
距離が生まれると、佐久間さんは満面の笑みで言う。
「流れ星、次流れたら一緒にお願いしよう。
しあわせくださいって」
まだ、見つからない答え──“幸せ”。
抽象的すぎる願いかもしれない。
流れ星が、必ずしも願いを叶えてくれるなんて思わない。
それでも、何もしないよりはマシよね?
どうか、エシャルに戻った後もまた、人間界へ来れますように。
それがきっと、あたしの今一番叶ってほしい願いで、叶うなら一番幸せなこと。