xxxFORTUNE



ちょっと恥ずかしくなって笑うと、佐久間さんの手が離れてく。

かと思えば、今度はぎゅっと抱きしめられた。


「ぼくね、どんなにヒドいことされても、全部自分が悪いからだと思ってたんだ」


佐久間さんの肩に額が当たって、真っ暗になる視界。


「みんなね、ぼくは悪くないって言ったけど、そう思えなかったの」

それは、きっとあなたが優しいからよ。

言葉で返事をする代わりに、ぎゅっと抱きしめ返す。



「ぼくは、お母さんもお父さんも大好きだから」

「えぇ、そうね」



距離が生まれると、佐久間さんは満面の笑みで言う。

「流れ星、次流れたら一緒にお願いしよう。
しあわせくださいって」



まだ、見つからない答え──“幸せ”。



抽象的すぎる願いかもしれない。

流れ星が、必ずしも願いを叶えてくれるなんて思わない。


それでも、何もしないよりはマシよね?




どうか、エシャルに戻った後もまた、人間界へ来れますように。

それがきっと、あたしの今一番叶ってほしい願いで、叶うなら一番幸せなこと。






< 242 / 300 >

この作品をシェア

pagetop