xxxFORTUNE









“幸せ”は人それぞれ。

他人のことを考える人もいれば、自分のことを考える人もいる。

だからこそ答えを探し出すのが困難で、答えなんて存在しないと思ってしまう。



「美味しいもの食べたり、自由に遊べたら、それで幸せ感じるけどなぁ」

ベッドに仰向けになりながら、恋千くんが欠伸をする。



「あと、世界一幸せな人は、世界一不幸せな人だと思う」

「どうして?」

「それ以上幸せにはなれないじゃん。
不幸せなら、いくらでも幸せになれるけど」


天井を見つめる彼のすぐ横のベッドの上に腰を下ろして、部屋を見渡しながら聞いていた。


きっちり整頓されてしまっていて、なんだか寂しい。


三段に仕切られている縦長の棚には、漫画がたくさん並んでる。



家族との写真を飾る里音に、テレビを置いている佐久間さん。

恋千くんの部屋は、ただ眠ることだけを目的とするようにある。


そのせいか、他のみんなよりベッドが大きいし照明も落ち着いたように暗めだった。



「恋千くんは、幸せと不幸せのどっち?」


なんだか肌寒いと思えば、ベッドのそばのカーテンがゆらゆらと揺れる。

窓を開けっ放しにしているみたいだ。






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