xxxFORTUNE
「超不幸せ」
どうでもいい風を装った返答。
「じゃあ、これから幸せになれる可能性があるってことね」
「たぶんね」
曖昧な会話を繰り返していると、恋千くんは上半身を起こした。
しばし視線が絡むと、ようやく口を開く。
「親って、いいもの?」
いきなりすぎて、言葉に詰まる。
少し躊躇ってから、思ったことを伝えた。
「いいものかは、わからないわ。
でも、あたしには必要な人よ」
やっぱり、身近な存在だから大切。
あたしがいるのは、お母様やお父様を含め、ご先祖様のおかげだもの。
「先輩の家族って、どんな人?」
「お母様はお茶目で、お父様は優しいわよ」
「兄弟はいないの?」
「えぇ、いないわ」
恋千くんは、何かを思い浮かべるように遠くを見て。
そうなんだ、と静かに呟くと、またベッドに仰向けになっていた。
あたしは、寝ている恋千くんに背を向けて座り直す。
会話が途切れて話題を模索していると、寝返りを打ったらしくベッドが軋む音。
恋千くんへと、もう一度視線を投げた。
「俺、すずのこと好きだよ」