xxxFORTUNE
「え……?」
思わず、疑問符が頭いっぱいに埋め尽くされる。
聞き返すけれど、恋千くんは相変わらず目を合わせようとしない。
あたしの位置からは、彼の泣いているような横顔がわずかに見えるだけ。
「何もいらないし、何も求めないから、ずっと好きでいてもいい?」
そんなつもりはないのだと思うけど、まるでお別れみたいに感じた。
もう会えないからこそ、今この瞬間言ってくれたような……。
「もちろんよ」
こっちを向かない彼に、見えないであろう笑みを作って答える。
作り笑いとは、ちょっと違う。
でも、本心からの笑みとも違う。
「俺、もう寝るね。
おやすみ」
そのまま目を閉じた恋千くんが、すごく遠くにいるみたい。
嘘でも笑ってあげなきゃ、恋千くんじゃなくて自分のほうが泣きそうだった。
「…おやすみなさい」
そっと呟いて丸まっている彼に布団をかけてから、窓を閉める。
最後、電気を消す前に振り返って、何ともいえない感情のまま廊下へと出た。