xxxFORTUNE
誠は、洋館にいたいとご両親と話し合ったのよね。
傷のあるであろう手当てされた部分を見て、だんだんと実感する。
あたしは、決めごとを受け入れるつもりでいる。
それが正しいと、そう思う。
でも、自分の意志を大切にすることも必要よね?
だからといって、人間界に留まっているのは、逃げているだけにも感じるし。
断言してしまえば、正直エシャルの姫としてやっていく自信がないの。
いつの間にか、本が綺麗に一カ所に集められていた。
先程までの散乱とは大違い。
「周囲の目なんて無視すればいいんです」
仕事は止めずに、おもむろに誠が口にする。
「無責任ですが、あなたはありのままでいればいい。
性根が曲がっているわけではないんですから、きっと周りがあなたを信じて付いて来てくれます」
心の中を、見透かされたよう。
胸を、熱い何かが蠢いた。
「姫だろうが何だろうが、あなたは1人の人間でしょう」
そこまで言って、誠は一度手を静止。