xxxFORTUNE



「こんにちは」

会釈する相手につられて、あたしも頭を下げた。



傘を閉じて、男の子と一緒に軒下に並ぶ。

花束の代わりに、片手には小さなケーキの箱があった。


「四つ葉のクローバーなんだけどね」

隣をちらちらと窺いつつ、話を切り出してみる。


「どこにも…その、見つからなくて」

躊躇いながら言うと、男の子は慌てたように言葉を紡いだ。


「あの、えっと、たぶん、今の時季にはないんだと思います。
もしあったとしても、少ないというか」

「今の時季?」

「はい、もう少し暖かくならないと」



動作をつけてされる説明に、なるほどと思った。

あれだけ長時間探したのに見つからないって、要するにタイミングが悪かったのね。

四つ葉のクローバーは、今はそもそも存在してないんだわ。

きっとそうよ。



1人納得して急に黙ると、さらに男の子は慌て出す。


「あ、え、その、すみません」

しゅんとしたそのコを、あたしはただ静かに見つめていた。


声が、誰かに似てる。






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