xxxFORTUNE
ケーキの箱を見つめる、柔らかい笑みを浮かべた横顔。
早く、お母さんに届けてあげたいわよね。
せっかくの誕生日だもの。
「ねぇ、よかったら、これ使って」
握りしめていた傘を男の子へと差し出す。
「いや、でも」
「あたしなら大丈夫よ。
ほら、お友達に車っていうので迎えに来てもらうから」
デタラメな嘘を並べて、男の子の自由な片手に開いた傘を握らせる。
「本当にいいんですか?」
申し訳なさそうな表情をするから、満面の笑みを返した。
「すっごく大丈夫よ!」
ありがとうございます、とお辞儀をして笑った男の子を見た瞬間───
「えっと、じゃあ、傘を返すのに住所を教えてくれませんか?」
「あ………」
見上げてくるその笑顔が、綺麗に重なった。
【弟が時々供えに来るんだ】
……お墓に供えられた花。
【もう中学生になったかな】
「あなた、ひょっとして里斗くん……?」