xxxFORTUNE
「罪悪感?」
答えを促すように繰り返すと、里斗くんは雨が覆う街を見つめた。
「兄ちゃんには、もう母ちゃんがいないから。
独りにしちゃって、ごめんなさいって思うんです」
屋根をたどって流れてきたのだろう雫が、目の前で一定のリズムを刻む。
「あの…、兄ちゃんは幸せだと思いますか?」
不安の色を含んだ瞳が、あたしを捉える。
あたしは、薄暗い風景から隣に視線を移した。
「里斗くんが幸せなら、幸せなんじゃないかしら。
自分よりも他人を優先する人だから」
それを聞くと、さらに小さい声が漏れる。
「なら、兄ちゃんに伝えてください。
幸せだよ、って」
「えぇ、伝えておく」
軒下から、傘の下へと入る里斗くん。
振り返った彼に
「傘は、あたしじゃなくてお兄さんに返して。
その傘、里音から借りたものだから」
微笑んでみせる。
「それにあたし、明日には“ここ”じゃない国に帰らなきゃいけないの」
「外国に住んでるんですか?」
「うん、そんな感じ」