ONLOOKER Ⅲ
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どこの学校も同じなのかどうかは直姫には知るすべもないが、悠綺高校の生徒会活動は、基本的に毎日のものである。
なにかしら作業や集会をする日に放送などで知らせるのではなく、その逆で、昼休みなどに紅や准乃介の声がスピーカーから流れるのは、活動のない日のことだ。
もっとも最近は、彼らの声が響くだけで生徒たちが歓声を上げてしまって聞き取れないので、直接のメールや電話で済ますことが多いが。
今日も今日とて直姫は、生徒会室に向かうため、やはり近道である中庭を一人歩いていた。
今日は急ぐこともなく、花壇の間を縫って、ゆっくり歩いている。
ふと、昼休みのここでの光景が、脳裏に蘇った。
なにも聞きはしなかったが、千佐都の接し方を見るに、あれが“例の幼馴染み”で間違いないだろう。
井上涼介(いのうえりょうすけ)、佐久間颯(さくまはやて)、七川光里(ななかわひかり)、大道寺倭(だいどうじやまと)。
土下座の人、目が笑っていない小柄な人、関西弁の人、ずっと無言だった強面の人。
どれが誰なのかは、わからない。
『放課後、顔貸しぃ?』
いわゆる呼び出しというやつだ。
授業が終わったら、南校舎のアーチの下にいろ、と言っていた。
直姫は、踵を返して南校舎へ向かおうかどうしようか、迷っている。
わずかな俊巡の、末。
(……別にいいか、面倒だし)
決断は、いかにも彼女らしかった。
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