ONLOOKER Ⅲ
ふと、ベージュのニットのベストを着て、シャツの袖を肘下まで捲り上げた直姫の腕に、聖が目を留めた。
直姫に傷の具合を聞いた時は、たいしたことはない、紅が大袈裟に騒ぎすぎなのだと言っていた。
きっと直姫のことだからどんな怪我でも平然とした顔をしているだろうと、念のために包帯を外して確認もしたが、本当にそれほど大きくも深くもない傷だった。
本人も言っていたように、大きめの絆創膏でも十分に事足りそうなものだったはずだ。
だが今、直姫の腕は、肘から手首までの大半が、真っ白な包帯で覆われていた。
「はい?」
「なに、その包帯? そんなに酷かったっけ?」
「あぁ、これですか」
きっちり丁寧に、だがぐるぐると厚く手当てされている。
知らない人が見れば、10cm近くもある大きな傷がその下にあると勘違いしても、おかしくはないだろう。
実際今朝の1Bの教室では、直姫ににこやかに挨拶したあと、腕に目を移して小さく悲鳴を上げる女子生徒が相次いだ。
眉尻を下げて自分のことのように心配するクラスメイトたちに、心配いらないよと切なげな苦笑いを浮かべる直姫と、申し訳なさそうな表情をする真琴がいた。
「大怪我、に見せようと思って」
「どういうことだ? 犯人の良心に訴える狙いか?」
「それも一つ、ですかね」