ONLOOKER Ⅲ


怪訝そうに眉を潜めた紅に、直姫の言葉を引き継いで夏生が言う。
どうやら、直姫にそれをアドバイスしたのは、彼らしい。


「もし犯人の狙いが紅先輩一人だとしたら、全く関係のない人間が被害に遭ったことになるでしょう。でももし、標的が生徒会だったら?」
「……直姫が大怪我しても、なにも感じないだろうな。むしろ思うつぼ、か」
「だから、これに対する反応で、犯人の狙いを知れるかと思って」
「それに、犯人の狙いが分かれば、範囲も絞れると思うんです。生徒会が標的だとして、紅先輩にだけ集中攻撃してる理由とか」
「それって……単純に、同じ学年で狙いやすいから、とか……?」
「そういう可能性も、あるってこと」


色々と考えを言いはしたが、打つ手がない今、それ以外になにもしようがないのだ、ということは、誰もがわかっていた。
わかっていたが、わざわざ口にはしない。

筋が通っていないわけではないが、それは犯人に、他人が怪我したのを見て、痛む心があった場合の話だ。
無関係の人間がどうなろうが、良心の呵責を少しも感じないような人物ならば、通用しない。

ただでさえ、悪意を持って紅への密かな攻撃を仕掛けてくるような人物だ。
陰湿ないやがらせといい、昨日のような手段を選ばない物理攻撃といい、紅がどうなったって一向に構わないという、冷酷で非道な印象を受ける。
相当憎んでいるか、もしくは加減が分からないかのどちらかだ。

良心は、動くのだろうか。

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