インサイド
ブラボー。

見慣れた譜面を疑ってはいけない。

疑うべきは、編曲させている自分の方だ。

と言ってしまっては疑いではなく、完全に罪の在り処ははっきりしていた。

「なるほどー」

「ナルホド?」

「うーん。こうなるのかー。そっかぁ」

 さっき考えていたことの答えが、ぽろりとこぼれ出たと思った。

どうして迷ったのだろう。

遥の出現は、自分にとって、驚異的な出来事だったに決まっている。

避けていた食べ物が、実は食わず嫌いであったと知り、口に運んでみたら、思いがけず美味であった――と、そんな状態なのだ、これは。

「考えてたんだ。これはきっと遥くんが上手に違いないって。私もだいぶましに弾けるようになったと思うんだけど、やっぱり違う。遥くんが本当なんだよね」

「本当って、千帆ちゃん」

「だってそうなんだもん。それはわかるの」
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