インサイド
「お待たせ、シロちゃーん。すらりと弾けるようになったかなー」

歌うようなというよりもまるで曲にのせながら、入ってきたのは裕明だった。

大きな黒いケースを両手で抱え、ドアは蹴って閉めている。手が空いていないから。

それだけが理由だとは思いがたい素振りだ。

「ならないでしょ」
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