キミニアイヲ.
「なんていうか、愛莉ってこう…誰も寄せ付けない雰囲気を出してるでしょ?

意識的にそうしてるのかはわからないけど、一人でいて寂しくないはずないと思うし」



莉子は黙って聞いていた。



自分のことを必要としてくれる人も、自分が大切にしたいと思う人もいない。


だから、昨日莉子はあの場所へ行ったのだ。



寂しいから、辛いから……


楽になりたくて川の底に身を投げようとした。


楓がいなかったら、莉子は今ここにいなかったかもしれない。



“人は一人では生きていけない”


そんな言葉も信じてなかった。


でも今は、本当にその通りかもしれないと思う。



こんなことを考えたのは初めてだった。



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