lacrimosa
『これはきっと、…最後の一枚なんでしょ?』
最期の、一枚なんでしょ。
これを使ってしまったら
アンジェロという存在が消滅してしまうだろう、それは直感でわかっていた。
(…ほんと、ばかだよ、アンジェロ)
自分を幸せにできなきゃ、他人を幸せにすることなんてできないのにさ。
「…う、ん」
コクリ、力なく肯いた。
それでも彼の微笑みはずっと、ずっとずっと崩れない。
天使であったことへのプライドなのかとか、そんなことも思ったけれど
それはアンジェロなりの精一杯の――――
―――まるで張り詰めた糸のようだ
きっと泣き崩れて、本心や弱音を吐いてしまえば
幼い子供のように泣きじゃくり、素直に甘えてしまえば、
―――生きていたい、と
アンジェロはもう二度と笑えなくなるだろう。
背負いきれない絶望に押し潰されて跡形もなく瓦解してしまうのだろう。
(…そんなあなただって全部、私は受け止めてあげるのに)
友達を死の淵へ追い込んでしまったその時
アンジェロは弱い心を深い深い闇の底、静寂な深淵へと埋めてきてしまったんだね。
負のそれだってちゃんとあなたの一部だったのに。
(…掬い(救い)あげてあげることができなくて、ごめんね)