lacrimosa







(…サヨウナラ)



(…サヨウナラだね、アンジェロ)



もっと一緒に居たかったよ。

願わくば、一度で良いからあなたに私を頼って欲しかった。

私に思いの捌けをぶちまけて、寄りかかってくれていれば。

寂しさも悲しさも、一緒に感じてあげたのに。



(…なにも出来なかったな、)



(…「そんなの、贅沢じゃない?」)


最初に逢った時、そう言ったアンジェロの心を思うと胸が張り裂けそうだ。

なんて愚かだったのだろう。

井戸の中の蛙で、どれほど恵まれているか気づくことができなかった。

そんな自分の横で彼は、受け止め難い現実を必死に抱えて微笑っていたというのに。



(…恥ずかしい)




「それで、幸せになってくれたら、僕はもうなにも…

思い残すことはないから」


だけど盲目なのはアンジェロだって同じだよ


「ありがとう、サーシャ」


私の幸せはあなたと一緒に居ることだってこと、解ってないよ


「ずっと、傍に居てくれて…」


傍に居てくれたのは、アンジェロじゃないか。










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