lacrimosa
「…アンジェ、ロォ」
だらしなく大粒の涙を流して。
ソノ時は刻々と迫っているというのに。
彼に促されても何もすることができない。怖い。それを実行してしまうことが。
(…一番怖いのはアンジェロのはずなのに。私はなんて弱虫なの)
「…ごめん、ね」
アンジェロ、ごめんなさい。
あなたの苦しみや悲しみに、気づいてあげられなくてごめんなさい。
あなたはいつも笑顔を絶やさなかったのに、私は我が儘で泣いたり怒ってばかり。
ごめんなさい、アンジェロ。
『謝らない、で?僕…サーシャに出逢え、て…しあわ…せだった、』
本当?
(…私なんかにどうして最後の羽を使わせたの?)
『だか、ら、いつまでも、居なくなっても…サーシャのこと、想ってるから』
(…嫌だよ)
『早く、逝かせて?』
(嫌 だ よ)
(アンジェロともっと一緒に居させて、)
『最期に…、サーシャを幸せにしたい』
(…こうするしかないの?)
『笑っ、…て?サーシャ、』
アンジェロはこんなにいい子で立派な天使だったのに。
―――ねぇ、神様
(…どうして堕天使なんかにするの?)