君桜




車で走っていると、赤信号で止まる。


…あ…


あの、ケーキ屋さん。


あたし、小さいころこの道通って小学校に行ったなァ。


何回もあの店の中覗いて、お母さんと絶対来るんだって心に決めてたんだ。


誕生日の日もそこを通って、


クリスマスもそこを通って、


雛祭りの日もそこを通って、


いつ、ここのケーキを食べられるのかなぁって思っていたのを思い出した。


今思えば、お小遣いで買いに行けるほどの値段だったんだけど、すっごく高いと思ってたから。


結局、あそこのケーキ屋さんのケーキ、食べられなかったんだ。


中学校はこの道を通らなかったし、高校も歩いて行かなかったし。


高校は、バスだもんね…。


懐かしいなァ、この道最後に通ったのいつだっけ…?


車が再び動き出す。


…またね。


また、今度。


一人でこの道、通ってみよう。


お母さんとの思い出が詰まった、この道を――――――。


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